私は、別サイトで映画の感想をよくアップしているが、
この作品の感想については、このブログにアップするのが
ふさわしく思えたので、こちらに書きます。

概要(参考Yhoo DVDショッピング)
1918年、第一次世界大戦後の戦渦が色濃く残るドイツ・ミュンヘン。
裕福なユダヤ人の家庭で育った帰還兵のマックス・ロスマンは、
戦場で右腕を失いながらも、新しい人生を踏み出すため画廊を開いた。
ある日、マックスは、同じ元軍人で画家を目指すひとりの青年
アドルフ・ヒトラーと出会う。
マックスのアドバイスに対し耳を傾け絵画に打ち込むアドルフ。
一方で彼は、持ち前の弁舌を買われ、陸軍将校の代理で反ユダヤの演説を行い
幾ばくかの金を得るのだったが…。

あの有名なアドルフ・ヒトラーの若き日の物語です。
なんで、こんなものを見たかと言えば、
某作品でジョン・キューザックという役者さんが気に入り、
ネットで情報を集めていた頃に、この作品のタイトルを見つけ、
扱っている人物と、そのテーマにひかれたからでした。
などと、取り繕うのはやめましょう。

本当は、あれだけのホロコーストをしたアドルフ・ヒトラーという人物が
どういう人間だったか、一体、なぜ彼は、誰が見てもあきらかに
狂ってるとしか思えない事をやってしまったのか
それは、常々とまではいきませんが、疑問に思っていたことだったからです。
人間は、どういう状況になると、あそこまで残虐になれるのかなと。
けっこう、これって自分にとっては追究すべき大きなテーマなんです。

そして、ああいう歴史があって、あれはいけない事だと証明されているのに、
みんなそれを唱和するくせに、なんで、イジメはなくならないかとか、
(まあ、今の若い子。ユダヤ人の虐殺があった事なんて知らないかもしれないけど
なにせ、第二次世界大戦があった事を知らない人もいるらしいから)
疑問の種はつきません。
こういうブログを立て、敢えて毒毒しい文章を書くのも
自分の持っているあらゆる疑問の追究のためでもあるのです。

さて、小理屈は置くとして、映画の感想。本作かなり良かったです。
かなりというか、私の基準では傑作の部類に入ると思います。
ヒトラーの人物造型がかなり面白いです。
彼はもともと画家を目指してるんですよね。
そして、自分は大画家になるという確信を持ってる。
まあ、ああいう事やる人にありがちな話です。
そういう確信がなくちゃ、やってられないだろうもんね。
そして、確かに才能もあるようです。
ジョン・キューザック演ずるユダヤ人画商のマックスは彼の中にある才能を感じ、
彼にとにかく絵を書く事を進めるのです。
しかし、ヒトラーにはもう一つ才能がありました。それは演説の才能です。
軍の上官にそれを見い出されてしまうのです。
彼は命ざれるままにユダヤ人排斥運動のための演説をするわけです。
当然の事ながらマックスは、それをあまり心良く思わないようで、
『政治はやめろ』といいます。鬱屈した思いはキャンバスへぶつけろと。
ヒトラーも彼の言葉に従い、熱心に絵を書くのですが、彼の絵はなかなか売れません。
彼の中の偏った考えが、彼の芸術の妨げになっていると、マックスは評します。
なんだか、この辺りのやりとりを聞いてると、政治ネタじゃなくて
アート論なんですよね。それが、また、結構面白いんですよ。

しかし、描いても描いても、ナカナカ絵は売れず、
まあきっと、いわゆる天才過ぎてか世間にもなかなか理解されずで、
ヒトラーの心理的鬱積はますます強くなります。
分かりやすく言えば『このままじゃ食べていけん』『このままじゃ、画家になれない』
『このままじゃ、名も知られず終ってしまう』といった、
ほとんど現実的な悩みに苛まれるですが、
それが、彼に、ある結論を導き出させてしまいます。
それは『政治とアートの融合』でした。
その結果、ついに彼はマックスをも納得させる傑作を描くのです。
それを見たマックスは、この絵は売れると確信し、待ち合わせの場所と時間を
決めて、必ず来るようにと言います。
その時のヒトラーの喜びは、どんなものだったでしょうか?
彼は、まだ演説活動をやっていたのですが、それを止める決断をするのです。

そして、最後の演説を終えた彼は、約束の場所へ向かいます。
一方のマックスも、雪の中、歩いて待ち合わせ場所に向かいます。
そして、運命の時が訪れるのです。

私的にはいい作品だと思うのですが、一つだけ怖いのは、
これを見た人がヒトラーに感情移入してしまわないかという事です。
この作品では、ヒトラーを悪し様に罵ってはいません。
責任は彼自身だけでなく、あの頃の社会にもあったのだというような、
かなり冷静な目で、彼の人物像を作り上げていることが感じられます。
しかし、だからといって、彼のやった事が許される事は『絶対に』ないのです!

それでは、どうしたらああいった悲劇が二度と起きないようにできるのでしょうか?
それを考えるのが、大事ではないかと思うのですが…。

監督: メノ・メイエス
製作: デイモン・ブライアント、アンドラス・ハモリ
製作総指揮: ジョナサン・デビン、フランソワ・イヴェルネル、キャメロン・マクラッケン、トム・オーテンバーグ
出演: ジョン・キューザック、ノア・テイラー、リーリー・ソビエスキー

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